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認知症によって不動産が処分できなくなる問題と対応策?

高齢になり認知症になると表面化する問題の具体例として不動産の処分が挙げられます。

そして、この問題は現実に多くの人の頭を悩ませています。


実際に相談をうけた認知症と不動産の処分問題。


相談者の父親(母親はすでに他界)が重度の認知症になり、介護施設に預かってもらうようになりました。

介護施設で生活するようになったことで、父親がそれまで住んでいた家が空き家となりました。

すると、空き家となったことで庭には草木が生い茂るようになり、虫がでてきたり、異臭がしたりするようになり、隣近所から苦情を受けるようになりました。

その苦情に対応しようにも、日中は仕事があるし、今住んでいるところは、空き家となった父の家から少し離れていて、すぐいけるような距離にありません。

また、介護費用がかかるようになって、生活費も圧迫し始めたため、なんとかこの家を売却できないものかと考えました。

しかし、この家の所有者は、認知症となった父親にあるため、売却することができません。

父親が亡くなるまで、隣近所の苦情の対応をし続けなければならないし、売却することもできなくて、困っていました。

 

認知症になると、不動産の売却ができない。


不動産の所有者が認知症となることで出てくる大きな問題は、子供が勝手に売却することができないという点です。

不動産取引は、当然ですが法的な取引であり。

売買をするためには、「意思能力」が必要になってきます。

どういうことかと言うと、正しい判断が下せる状況で、売るという意思表示が必要になるわけです。

認知症になると、この正しい判断が下せなくなるため、売る意思が本物かどうかがわからない。

つまり、売れないということになるわけです。

 

認知症による不動産処分の対策。


実は、認知症になっても、不動産を処分する方法はあります。

それが、成年後見制度を使う方法です。

成年後見制度とは、認知症のように意思能力が乏しい状況になっても、後見人となった人が、代わりに財産の処分などをすることができる権利を得る制度です。

当然、この権利をつかって財産を処分したり移転したりする場合には、被後見人(この場合認知症になった人)のための行為でないといけません。

大きな取引ともなると、裁判所の許可が必要になったりします。

また、成年被後見人となる人も、申請者が勝手に決められるわけでもありませんし、当然のことながら、申請してすぐ成年被後見人となれるわけでもありません。

成年後見制度が成立してから、不動産売却までに短くとも1年以上はかかることでしょう。

そうなると、介護費用と生活費に困窮している場合などは、頭の痛い問題となってくると思われます。

しかし、現状認知症となった親の不動産などを処分するには、こういった方法をとるしかなくなります。

 

家族信託は、認知症対策になる。


最近、注目されている制度として、家族信託という制度があります。

詳しい説明は省きますが、家族信託を活用することで、認知症になった親の財産でも、財産の管理を任された委託者の判断で、財産の処分を行うことができるようになります。

成年後見制度よりも、自由度が高いため、注目されているわけですが、この制度は認知症となってからでは遅いという問題があります。

老後の対策として、相続税や相続財産の配分だけでなく、認知症対策についても考えておくことをおすすめします。

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