「相続」という言葉を聞くと、多くの方が「うちは関係ない」と思いがちなのかもしれません。
しかし、想像しているようなお金持ちでなくても、相続税の納税義務が発生することもあります。
何も知らずにいると、思いがけない納税に慌てることにもなりかねません。

そこで、相続税の基本的な仕組みから、税額の計算方法、そして賢く対策するためのヒントまでをわかりやすく解説します。
「もしかしたらうちも…」と感じた方は、ぜひ最後までお読みください。

１．相続税はどんな時にかかる？課税対象となる財産

相続税は、亡くなった方（被相続人）から財産を受け継いだ方（相続人や受遺者）に対して課税される税金です。
現金や預貯金はもちろん、不動産（土地・建物）、有価証券（株式・投資信託）、自動車、貴金属、著作権など、経済的な価値があるほとんどの財産が課税の対象となります。
また、生命保険金や死亡退職金なども、みなし相続財産として相続税の課税対象となる場合がありますので注意が必要です。

２．相続税の計算方法の基本｜基礎控除額がポイント

相続税の計算は、以下のステップで進められます。

⑴　課税価格の計算: 相続財産の総額から、借金や葬式費用などを差し引いた金額を計算します。

⑵　基礎控除額の算出: 相続税の計算では、すべての相続人に適用される「基礎控除」があり、⑴の金額が、この基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要となる可能性が高くなります。

基礎控除額は、以下の計算式で求められます。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人とは、民法で定められた相続人のことで、配偶者、子、父母、兄弟姉妹などが該当します。
法定相続人の数によって基礎控除額が変動するため、ご自身の家族構成を確認することが重要です。

３．知っておきたい！相続税の控除と特例

相続税には、基礎控除以外にも様々な控除や特例があります。
これらを活用することで、納税額を大きく減らすことができる場合があります。
代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

⑴配偶者控除: 配偶者が相続した財産については、一定の金額まで相続税が非課税となります。
⑵未成年者控除: 相続人が未成年者の場合、一定の金額が相続税から控除されます。
⑶障害者控除: 相続人が障害者の場合、一定の金額が相続税から控除されます。
⑷小規模宅地等の特例: 被相続人が住んでいた宅地などを相続する場合、一定の要件を満たせば評価額を大幅に減額することができます。

これらの控除や特例には、適用要件が細かく定められています。
ご自身の状況に合わせて、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

４．今からできる！相続税の賢い節税対策

相続税は、生前から対策を講じることで、納税額を抑えることが可能です。
主な節税対策としては、以下のようなものがあります。

⑴生前贈与: 生きているうちに、少しずつ財産を贈与することで、相続財産を減らすことができます。ただし、贈与税には注意が必要です。
⑵生命保険の活用: 生命保険金は、一定の金額まで相続税が非課税となります。
⑶不動産の活用: 賃貸物件などを活用することで、相続税評価額を下げることができます。
⑷養子縁組: 一定の要件を満たせば、法定相続人を増やすことができ、基礎控除額を増やすことができます。

これらの対策は、ご自身の家族構成や財産状況によって最適な方法が異なります。早めに専門家に相談し、計画的に対策を進めることが重要です。

まとめ

相続税は、決して他人事ではありません。
基本的な仕組みを知り、早めに準備を始めることで、将来の不安を軽減し、大切な財産をスムーズに次世代へ承継することができます。
もし、「うちも相続税がかかるかもしれない」「具体的に何をすればいいかわからない」と感じたら、まずは税理士などの専門家に相談してみることをおすすめします。
専門家は、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスを提供してくれるでしょう。