節税対策の中心選手、『倒産防止共済』
小規模企業共済で有名な、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行っている、もう一つの共済制度、経営セーフティ共済。またの名を倒産防止共済と言います。
この倒産防止共済は、本来は、取引先が倒産した時の備えとして使われることを想定した共済制度なのですが、今ではほとんどの方が、『節税対策』として利用するようになっています。
倒産防止共済が節税対策として利用されている理由は、まず掛け金が全て損金として扱うことができるところにあります。
また、倒産防止共済の掛け金として支払った保険料は、一定の期間が過ぎれば、解約した時に100%戻ってくるという機能もあります。
つまり、積立しながら、税金の支払額も抑えられる、ということで大変魅力的な共済になっています。
しかも、保険料額の変更も、そこそこ自由がきいて、利益が出た時と出なかった時で、共済掛金のコントロールが出来るというのも魅力的です。
また、倒産防止共済で積み立てた一定の範囲内で、借入を受けることもできるので、ある意味、節税しながら、キャッシュとして手元に引き出すことも出来たりします。
節税だけでなく、金融商品としても便利な機能も豊富なので、個人事業主や法人で使わない理由はないのではないかと感じています。
倒産防止共済と相続税
ところで、倒産防止共済に積立していて、相続が発生した場合にはどのような扱いになるのでしょうか?
⑴法人の場合
法人の場合は、もし倒産防止共済を保険料として経費処理していたとしても、解約金に相当する額が、株価の計算に反映されるようになります。
⑵個人の場合
個人事業主が、倒産防止共済に加入しながら亡くなった場合には、一定の要件を満たしていれば、相続人がそのまま共済の契約を引き継ぐことも可能です。
しかし、その場合の相続時の税金関係は、共済掛金の積立金が、解約金としてとりあつかわれることとなります。
つまり、倒産防止共済の解約金と同じように、亡くなった被相続人の事業収益という扱いになり、被相続人の準確定申告で事業収益として計算されることになります。
またさらに、倒産防止共済の解約金については相続財産となり、相続税の対象になってきます。
つまり倒産防止共済に加入したまま相続が発生すると、所得税と相続税の両方に影響してくることになります。
個人事業主の場合は、一度事業収益として扱われることになるところが、一般の生命保険などとの違いという事のようです。
どうやら倒産防止共済は、所得税対策としては、効果抜群ですが、相続税対策としてはあまり効果がないようです。